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2009年08月09日
よくある話だが……飲みながら聞きながしてくれ その3
そんな中、オレは彼女と出会った。いや、その時に至って、一人の女性として認識したってのが正しい。
彼女は研究室の同期だった。それまでは、彼女を意識した事は全く無かった。それはオレの性質からしてもよくある事で、要は自分の興味の対象以外はまるで視界に入っていなかったという話だ。
それもあるが、周囲から彼女について、あまり良い話を聞かなかったって事情もある。一言で言えば、かなり厄介な相手、それがオレの抱いていた偽らざる印象だった。関わるべきじゃないと判断を下し、それまで過してきたのだ。
彼女は自分の欲求の為に巧みに男を操って、物事を成し遂げて行く人だった。それは色香とはまた別の、彼女独特の雰囲気に魅了された男に限っての話だが。
オレはその手の雰囲気に興味は無いし、むしろ嫌悪感さえ抱いてしまう。では、何故――という話になる訳だ。
研究に対して、精神的にも肉体的にもギリギリの攻防をしている中で、無意識のうちにオレは誰かを求めていた。それは多分自然な事、だとは思うが、諸事情をさっ引いても、自分本位で誰かを求めていたには違いない。その意味で、良好な状態ではなかった。
端的に言えば、付き合う事になったのは、諸々のタイミング、っていう奴だろう。
彼女は本能的に誰かを必要としていた。それがたまたまオレの波長と合ってしまった、それだけの話だと思う。今にして思えば、それはお互いネガティブな部分での同調だったと言わざるを得ない。少しずつ接している内に、彼女の中に大きな穴が開いているのに気付いた。単純に隙間を埋めたいが為にオレを求めて、オレはその危うさを頭で分かった上でその懐に潜り込んだ。
彼女を助けたいと思った。その動機はバカバカしいほど傲慢で鼻持ちならないものだったが、当時のオレは心底そう願っていた。一度離してしまったものを繋げるかもしれない、いやそうしなくちゃならない、そうすれば彼女、そしてオレも救われる、と。
投稿者 楓岱 : 2009年08月09日 22:26
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