« 2008年11月 | メイン | 2009年01月 »

2008年12月07日

T秘境ツアー 後編

T秘境の魅力はギャップだと言える。

アプローチ途中は何の変哲もない、谷戸に点在する小集落の景観そのものである。多摩丘陵にあってもおかしくない風景が広がっているのである。

しかしトンネルの向こうに待っているのは──

周囲は基盤岩の切り立った崖に囲まれている。高さ10m程だろうか。

完全に外界から隔絶され、非日常の世界に紛れ込んだような錯覚に陥る。

川幅は広いところでゆうに6m。

水深は概ね3㎝ほどだが、深いところで数十㎝はあろう。

幸い水量もなく、基盤が砂岩質だったこともあり、我々は河床を歩いて奥へと向かった。

熱帯雨林の湿地帯を彷彿とさせる。土壌をえぐり取られても倒れない姿に感動すら覚えてしまう。そんな気持ちを抱かせる何かを、この空間は持っている。

そして──

我々の眼前に第一の関門が姿を見せる。

小滝の左側には明らかに人工のステップが刻まれている。

それを頼りに滝をクリアし、さらに奥を目指す。

途中幾つかの瀬を渡り、小滝をクリアしていくと、最大の難所が姿を見せるのだ。

それはまさに劇的な形で姿を現す。そして、我々は圧倒された!


巨大な三段滝である! その頂上には天然の隧道が口を開けているのだ!!

そんじょそこらのアトラクションを凌駕するクオリティ!

滝の右側にロープを発見した我々は、直登を試みた!

見よ! 人が存在の小ささを! まるでゴミの──何でもありません。

命綱を伝って登る登る……

恐る恐る下を覗いて、とんでもない高さだと実感する。もはや後戻りは出来ない。

さらに奥へと進むが、残念ながら、水源まで行くことは断念した。文字通り、一番の山場を越してしまい、急激にモチベーションが下がってきた。

我々は来た道を引き返した。そして、「スプラッシュマウンテン」に再び挑んだのである。

難所を無事に通過し、満ち足りた気持ちで帰途に着いたのだが……

徒然草に「高名の木登り」という説話がある。

まさにそれを地でいく惨事が起きたのである──

RFアオタ

何の変哲も無い場所で転倒!

小外刈りを喰らったように、見事に逝った。幸い浅かったので少し濡れただけで済んだのだが──

最大の悲劇は最後の小滝で起きた。

所々深くなっている箇所に気を付けながら、瀬渡りをしていた時だった。

楓岱が深みに右足を取られたのである。

足一本丸々はまり、バランスを失い、右手をつく。

足の一本くらいくれてやる。手をつけば最悪の状況は回避できると思ったのだが

手も深みにはまった。

この絶望感が分かるだろうか。

初冬の山中で、何で水中にダイブしているのだろう。

本気で思った。サーフィンしてもしなくても、千葉に来ると濡れる運命にあるらしい。

体の半分が水没した。

あ。そこの人、笑って良いよ。

……笑えよ。てか笑うしかねーよ。

ちょっと聞いてくれ。俺この時風邪気味ですよ。前日も自重してノーサーフですよ。

それでっ! この仕打ちですかっ!

デジカメ、GPS受信機、サウンドレコーダー。全てが喰われた。

ものすごく切ない気持ちになった、とだけ記しておきたい。装備品は濡れたが、故障しなかったのが不幸中の幸いである。

そんな感じで、今回の調査は成功したと言える!

とてもいい天気で助かった!

投稿者 楓岱 : 22:41 | トラックバック

T秘境ツアー 前編

秘境と名付けられた場所は多けれど、一度メディアの洗礼を受け、人が押し寄せるようになると、色あせてしまう事は少なくない。

観光地化は、あるいは良いことかもしれない。環境が整備され安全性が向上する事によって、多くの人々の心に刻み込まれ、豊かな時間を味わえる事につながるならば、むしろ喜ぶべき事だろう。

しかし、我々の目的が、一般人未踏の場所や人々の記憶から忘れ去られ、埋もれてしまった場所を探り出す事にあるならば、そのようなお膳立ては無粋である。

今回の探訪地は知る人ぞ知るシークレットプレイスである。

件の場所は当該集落の水源地のため、現在は集落の頭文字を取って

T秘境

と呼ばれているのだ。

以前、ロケーションがネットで公開され、メディアに晒された事により、心ない探訪者によって荒らされ、警察沙汰となり、立入禁止になりかけたそうである。

以来、暗黙の内にその詳細はぼかされる事となる。

T秘境は、房総半島の山間部に位置する。

東京湾側から国道に入り、造り酒屋を過ぎれば目的の集落である。以前はイチゴ農園の看板が、集落へのアクセスの目印だったらしいが、現在は無い。

つまり、今は目印が全く無いのである。しかし、集落への舗装道路は一箇所しかないので、注意深ければ、アクセス可能だ。

集落の生活道路を進み、二股三叉路を右、右、左と行けば、

秘境への入口が待っている。ここから先は車両立ち入り禁止というのが、暗黙のルールである。

トンネルを抜け、杉林を抜けると

長い年月を掛けて造形された渓谷が我々を出迎えてくれるのだ。

投稿者 楓岱 : 21:40 | トラックバック